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ある日の夕刻。 このサイトを作っているウェブ制作者のN女史とジョージズバーにご一緒する機会が遭った。 ジョージズバーへと続く階段をあがり、カウンターに落ち着く。熱いおしぼりを冷ましながら手渡ししてくれるジョージさん。 さて、なにを頼もうか… という瞬間がとても楽しい。 初夏の風も薫ろうかという頃だったのでミントジュレップもいい。ダージリンクーラーを酸味を効かせて貰うのもいい。さて、今日の一杯目は… ふたりしてぼんやりと考えを巡らしてみる。間の抜けた数瞬の時間。 ジョージさんがすかさず、しかし控えめに 「なにか…?」 と声をかけてくれる。こういう時にはお任せで頼んでみるのも一興だ。 |
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一度の味見もせずさりげなくサッと作ったにもかかわらず、上品にまとまったこの味わい。半世紀になりなんとするキャリアと日々の研鑽の為せる技なのだろうか。 「お口に合いましたか?」 と後片づけの手を休めることなくジョージさんが聞いてくる。 「ええ、とても! このカクテルはなんという名前なんですか?」 満足げなNさんが尋ねると、 「名前はないんですよ。今初めて作ったオリジナルですから。 …よかったら名前をつけてくださいませんか?」 はにかむようなジョージさんとしばし考えるN女史。恐縮しているのかちょっと時間がかかっている。 「そう… じゃ、『Web master』ってことで」 「ウェブマスターですか。よろしいんじゃないですか」 その日から『Web master』は我々の定番のカクテルになった。 ジョージさんを敬愛する幾つかのバー、例えば同じ吉祥寺の 『BAR WOODY』 や池袋の 『itten Bar』 ではわざわざリレを入荷するようになり、この『Web Master』を飲むこともできる。 もしも今度ジョージズバーに行ったときに、何を頼もうか悩んでしまったとしたら、『Web Master』を頼んでみるといいかも知れない。いや、その時にはジョージさんのことだから、また新しいカクテルを思いついているかも知れないけれど。 |
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